近年“サステナブル・エシカル・クリーン”といったワードが頻繁に飛び交い、エコバッグやゼロウェイスト、リサイクルなど、地球にできるだけ負担を与えない生活がますます注目されている。しかし、美容面ではどうだろう。コスメやスキンケアを使用する上で、環境や人への影響を意識している人はまだまだ少ないように思える。そこで、サステナブルなビューティを日常生活に取り入れる方法をチェックしてみよう。
そもそもサステナブルな世の中にシフトしている理由は?

私たちは近年、“サステナブル(持続可能な)、“エシカル(倫理的な)”、“クリーン”という言葉を頻繁に耳にしている。これらは一般的に「人や地球、動物を尊重し、害を及ぼさない安全な製品であること」を意味する。
世界各国でさまざまな環境問題が提示されるなか、ビューティ界でも、大量廃棄をはじめ、生産過程における汚染や動物実験など、人・地球・動物への影響は大きく、ファストファッション化しつつあるのが現状だ。『フォーブス(Forbs)』誌によると、年間1,200億を超える美容製品が生産されており、その80%は使用されないままになっているという……。もったいないというレベルの数ではない。また同誌は、美容品の生産が年間約1,800万エーカー(720万ヘクタール)の森林破壊に繋がっているとも伝えている。そんな今、私たちは、日頃から使用しているビューティアイテムについて、目を向ける時期にきているように思える。
ただ地球を守る=サステナブルではない。
もちろん、地球破壊だけではない。動物実験の実施や児童労働搾取など、美容界の非倫理的な活動がメディアで報じられることは少なく、情報に触れる機会があまりない。そのため、私たち自らが、以下のようなさまざまなアングルから問いかける必要がある。
- 有害な原料が使用されていないか
- 動物の権利や福祉に配慮し、クルエルティフリーであるか
- 環境に害を与えていないか(パーム油産業の問題etc.)
- フェアトレードであるか(人権の尊重・労働環境の整備)
- コミュニティや社会への貢献がなされているか(支援や雇用創出etc.)
- ジェンダーの平等や女性のエンパワメントに取り組んでいるか
- ゼロウェイストを意識しているか
- 児童労働搾取が行われていないか(天然マイカ未使用etc.)
- 透明性は保たれているか(トレーサビリティ)

一方で、多くの美容ブランドが、サステナブルであることを視野に起き、エシカルな生産やチャリティーといった社会活動を率先して行なっているのも事実。ラッシュ(LUSH)が取り組んでいる「チャリティーポット」では、特定商品の売り上げを、社会的課題の解決に取り組む団体に寄付しているため、間接的に自然環境の保護や動物の権利を擁護する活動の支援をすることができる。
また、動物実験や児童労働搾取が問題視されるなか、動物実験を行わないクルエルティフリーを貫くブランドや、児童労働搾取が懸念されている天然マイカの使用を禁止するブランドも少しずつ増えている。
「サステナ美容」を取り入れる方法。

お問い合わせ先: ネイチャーズウェイ(ナチュラグラッセ) 0120-060802 www.naturaglace.jp
サステナ初心者さん
サステナブルな美容品は大量生産が難しいため、価格が比較的に高く設定されていることや、手に入れるのが困難なイメージがあり、選択筋から外れているのではないだろうか。そこで、まずはいつも使っているコスメやスキンケアをチェックしてみよう。もしかするとそのなかに、エシカルなブランドが紛れているかもしれない。また、お出かけの際に、意識することでセレクトショップや、街角にサステナブランドが潜んでいることに気がつく。まずは自分好みのアイテムをみつけ、そのブランドの特徴や活動について調べることで、知識も増え、ビューティがこれまで以上に楽しくなってくるはず!
【ブランド例】
- ナチュラグラッセ(Naturaglacé)
- ベアミネラル(bareMinerals)
- ジョンマスターオーガニック(John Masters Organics)
- ラッシュ(LUSH)
- ザ・ボディショップ(THE BODY SHOP)

サステナ上級者さん
サステナ生活歴が長くなるにつれ、意識が高くなり、クルエルティフリーのブランドや、オーガニック認証を取得しているアイテムを選ぶことが当たり前になってくる。そこで要注意しておきたいのが、社会問題化しているグリーンウォッシュ。新しいブランドが次々に登場し、広告目的で“サステナブル”を提示していることが多いが、そこには落とし穴も! “サステナブル”や“ナチュラル”などの言葉には定義がなく、動物実験未実施とうたっているブランドが、実際には実施していたりと、真実を見極めるのが非常に困難である。
一方で、自らブランドに問い合わせるのは、手間のかかること。参考にしたいのは、「クルエルティ・フリー・キティ」など、美容ブランドのクルエルティフリーの有無を公開しているウェブサイトや、情報をまとめた資料を提供しているJAVA 。これらは、頻繁に更新されているので新情報を得る参考にしていきたい。また、「CompoScan」や「Healthy Living」など、美容アイテムのバーコードを読み込むことで、そこに含まれる有害物質や安全性を提示してくれるアプリを活用するのもおすすめ!
そして、お買い物をする際には「3つのR」を意識して購入するのも◎
Reduce(減らす):購入前に本当に必要なアイテムか、一度考えてみる。
Reuse(再利用):使い終えたケースをジュエリー入れや花瓶として再利用する。
Recycle(リサイクル):リサイクルできるパッケージ、もしくは環境汚染のない成分で作られているパッケージを選ぶ。一方、美容界では、リサイクルの過程で起こる汚染が懸念されているので要注意したい。
【動物実験の有無を公開しているウェブサイト例】
- JAVA(NPO法人動物実験の廃止を求める会)
- クルエルティ・フリー・キティ(Cruelty Free Kitty)
- エシカル・エレファント(Ethical Elephant)
- クルエルティフリー UK(Cruelty Free UK)
【クリーンなブランド例】
- タタ・ハーパー(TATA HARPER)
- エティーク(Ethique)
- ハリー・ジョシュ(HARRY JOSH)
- エコストア(ECO STORE)
- シュミッツ(SCHMIDT’S)
- アーティス(ARTIS)
参考にしたい店舗やオンラインショップ。

サステナブルなブランドを取り揃えているセレクトショップやオンラインショップは、年々増加の傾向にある。まずは、ウェブサイトやインスタグラムをチェックしたり、好みの店舗を見つけて足を運んでみよう。自ら手に触れたり、購入することで美容アイテムのショッピングが、これまで以上に楽しくなってくるはずだ。
【国内】
【海外】
- NY「クリーン・マーケット(Clean Market)」
- アメリカ「フォラン(Follain)」
- アメリカ「クレド・ビューティ(Credo Beauty)」
- カナダ&アメリカ「ザ・デトックス・マーケット(The Detox Market)」
- バンクーバー「ナインティーン・テン(Nineteen Ten)」
- ロンドン「コンテント・ビューティ・ウェルビーイング(Content Beauty Wellbeing)」
- パリ「オー・マイ・クリーム!(Oh My Cream!)」
- パリ「メルシー(Merci)」
- スイス「グリーン・レーン(Green Lane)」
自分なりに共感できるフィロソフィのブランドを選択する人が増え、サステナブルな美容品の生産が当たり前になることで、犠牲のないビューティ界が誕生することを期待したい。